『とどいた?』
「ううん、まだダメ!あとチョットなんだけど…」
『ねぇ、どうしても、緑のじゃなきゃダメなの?
手の届く紫の葡萄だって、きっと、うんと美味しいと思うよ?』
ウサ子さんは、手が届きそうで届かない…、そんなものが大好きです。
手が届きそうで届かないものは、まるでキラキラ輝く宝物のよう。
だから、そういうものを見つけると、結構ちょっと頑張って、努力なんかもしてみます。
勿論、誰かをちょっぴり犠牲にして、ね。
でも、いざ手にしてみると…、
「なんだかつまらないわ」
なんて勝手なことを言ったりするのです。
そんなウサ子さんに協力しながら、
まぁ、全然手が届かないものを欲しがるよりは良いか?
なんて、ウサ男君は時々思ったりしています。
秋の夜長、リネン村の動物だちのおはなし。